デザイン/マーケティング思考

現状のコンテンツの在り方を考える

少しコンテンツについて、述べてみたいと思います。
一視聴者としてここ数十年の民放のテレビドラマや CM を視聴していて面白いと感じるコンテンツ自体が 少ないなあと感じています。

巷ではテレビの寿命は尽きたとか、終わったなどと言われて久しくなります。
限られた制作費用の中で、放送作家や CM 制作者の方々はそれなりの努力はされているとは思っています。
たまに世間で、大きく話題になるようなコンテンツが生まれているのも事実です。

特に昔から日本の広告業界の CM に於いては、有名人に自社の商品名を喋らせるようなコンテンツ制作がまかり通っていますが、残念ながらもはやそれも終わっているのではと考えます。
このような有名人を出して演出するCM 作りをしているのは、以前読んだ本で日本だけと記憶しています。
いつまでも有名人を使って商品名を連呼するような CM 制作を要求しているスポンサーや制作側は消費者が本質的に求めるものを考えていないのではとの思いにかれており不思議です。

当然、私の周りの若い人達はテレビ放送をほとんど見てはいないのが現実です。
私の周りの若い人達の話を聞くとコンテンツが面白くて広がりのあるネット配信放送の Hulu や YouTube などによってテレビ離れが進んでいるのも仕方がないと考えます。
日本社会の文化の多様化が始まってそれなりの時間が過ぎており、旧態依然のドラマや CM 制作方法の 在り方を問題として捉えてこなかったことがコンテンツの劣化につながっていると思います。
また最近のネット広告宣伝の業界に於いても、もはや単なる広告を見て消費者が商品を購入して貰えない といわれています。

また、現在ではインフルエンサーを使ったネット広告での伸びも頭打ちの状況になってきました。
確かに有名人を使った広告やインフルエンサーを使った広告も人間の心理の本質に基づくものであること については私も論理的に理解はしています。
それを長く続けることは企業戦略として疑問を持っており余り良いとは考えてはいません。
最近話題になった視聴率が高いテレビドラマや企業広告 CM で SDGs を意識した社員の会話を中心にしたも のは非常に人間の情動の本質を突いたものがあります。
このようなコンテンツは質が高いために制作側が苦心をして、また多くの時間や費用を掛けてコンテンツを練り上げたものだとよく分かります。
私はコンテンツを見る側としては、CM はいつみてもクスッと笑ってしまうものやドラマでは意外性の高い ものやどんでん返しある内容を人は求めているのではと考えます。

人の記憶に少しも残らないコンテンツでは意味が無い

以前にも少し述べたかもしれませんが、改めて述べます。
全世界ボーダーレスの情報化時代で、数万キロ離れた国の情報が数時間後に日本にも情報をもたらします。
このように情報が毎日私達の前に雨あられのごとく溢れるように降ってきます。
このような状態に於いて、人の目や耳入った代わり映えしないコンテンツでは人の記憶には残念ながら全く残りません。

まず、コンテンツを制作する側としては、人の目を引き耳に残るようなことを常に意識することが重要だと考えています。

少し話しが前後しますが、前回述べたように私達の普段の生活で使うエネルギーの消費量は身体の中で脳が一番多く消費していると脳科学者はしています。
自分が必要としない情報をいちいち気に留めていたら情報が目一杯脳に入り込み、脳そのものは混乱しパニックに陥ってしまいますから、無意識的にその情報が自分に必要か興味があるかなどを脳は瞬時に識別 し選別を行っていると考えられています。
脳の仕組みについて詳しい内容に関しては、また改めて別の機会に述べてみたいと思います。
私達の脳の構造から考えると凡庸なコンテンツは人の気にも止まらないということになります。

心理学の中でサリエンス効果という言葉があります。
辞書でサリエンスを調べると「顕著な点」「特色」「突出」「要点」などと述べられています。
サリエンス効果とは、人は危険や恐怖感じたり、目立つ人や変わった物などを見たり聞いたりすると脳が瞬間的に記憶に留めようとする心の働きに影響があります。
どうやら人の本質は自分の身に迫る危ないことや人々の話題になっているもの、自分の目を引くもの、自分の環境下で気になるものに関して注意や好奇心が向いて脳の記憶に残りやすい性質があるようです。
例えば、サリエンス効果を狙った少し尖ったものや少し枠から外れたようなもの方がコンテンツとしては、人の目や気に留まるのではと考えます。

先程述べたようにコンテンツ制作に於いては、サリエンス効果やカクテルパーティー効果、バンドワゴン効果などの心理効果や心理法則を考え、巧みに記憶に残す心理的作用を起こすような要因を考えた方がよいのではと思います。

やはり、しっかり人の本質の共通点を見極めることが重要だと考えています。

基本的な人の情動は不変的

人類・文化学者や社会心理学者の説明では、人間の基本的な情動は共通であり不変的なものとされています。
しかし文化に於いては、世界的に全て共通するものではありません。
アメリカ人のコメディと日本のコメディに於いてお笑いという概念やポイントが違います。
以前、アメリカで制作した洋画を映画館で観覧をしましたが、外国の人達が笑っている場面では、日本人は誰一人もクスッとも笑ってはいませんでした。

しかし、文化や言語が違う人種間に於いても基本的情動は同じなので、言語を介さない笑いの面白さは共通のはずだと考えています。

このように今後の日本でも人種間の違いがあっても分かるようなコンテンツ作りがこれからのコンテンツ制作に求められてくるとのではと考えています。
日常に於いて時に人は時間が足りない、仕事が辛い、健康を害して苦しいとかストレスなどを抱えながらも生活しています。

そのような際に、一時しのぎであってもクスッと笑えるような CM やどんでん返しのあるスカッとしたドラマなどがあれば、コンテンツに触れる側としては気持ちが少しの間でも救われるのではと考えています。

今回もデザインとマーケティング思考を読んで頂き、誠にありがとうございました。
今後共デザインとマーケティング思考を宜しくお願いします。
文 デザイン・マーケティング担当 太田正信

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