在宅(薬局)業務では、小さな「確認待ち」が積み重なる
在宅医療に取り組む調剤薬局では、毎日さまざまな確認や対応が発生します。
患者さんやご家族への確認、施設職員からの問い合わせ、ケアマネジャーへの連絡、書類の回収、支払方法の確認など、その内容は多岐にわたります。
一つひとつは大きな業務ではなくても、患者数が増えてくると、
「これは誰が対応するのか」
「先方から回答は来たのか」
「この件はもう完了したのか」
といった確認が増えていきます。
こうした "小さな未完了案件をどう管理するか" は、在宅業務を安定して運営するうえで重要なテーマです。
情報が記録されていても、仕事が終わったとは限らない
例えば、施設から電話があり、「患者さんのご家族へ支払方法を確認してほしい」という依頼を受けたとします。
電話内容をメモに残すだけなら、それほど難しくありません・・・
しかし実際の業務では、その後に、
- 誰が家族へ連絡するのか
- いつまでに確認するのか
- 家族から回答があったか
- 施設へ回答を返したか
- 最終的に対応が完了したか
という流れがあります。
つまり、「情報を記録すること」と「業務を完了させること」は別の問題です。
在宅業務のDXを考える際には、情報を保存する仕組みだけではなく、「未完了の仕事を最後まで追える仕組み」も考える必要があります。
担当者の記憶に頼ると、見えない仕事が増えていく
少人数の薬局では、
「これは○○さんが対応している」
「明日確認することになっている」
といった情報を、スタッフ同士の会話や担当者の記憶で管理できることがあります。
しかし、在宅患者数が増えたり、担当スタッフが休んだりすると、その方法では状況を把握しにくくなります。
特に注意したいのは、業務そのものが見えなくなることです。
書類や患者情報は残っていても、
「いま誰かの回答を待っている」
「薬局側で次にやることがある」
という状態が見えなければ、対応漏れにつながる可能性があります。
患者ごとに「未完了」を見えるようにする
そこで一つの考え方になるのが、患者さんごとに対応案件を管理する方法です。
例えば、一つの対応について、
* 対象患者
* 対応内容
* 担当者
* 期限
* 現在の状態
* 相手からの回答待ちか
* 次に行うこと
* 完了日時
などを整理します。
状態についても、
「未対応」
「対応中」
「確認待ち」
「完了」
など、シンプルな区分を設けるだけでも状況がずいぶん分かりやすくなります。
重要なのは、複雑な管理項目を増やすことではありません。
いま何が終わっておらず、次に誰が動く必要があるのかが分かる(すぐ確認できる)こと です
「確認待ち」を区別するだけでも業務は見えやすくなる
在宅業務では、自分たちが作業すれば完了する仕事だけではありません。
患者さん、ご家族、施設、ケアマネジャーなど、相手からの回答を待つ場面も多くあります。
そのため、単純な「未完了」だけではなく、
「自分たちが対応する必要がある案件」と「相手からの回答を待っている案件」
を分けることも有効です。
例えば、担当者が出勤したときに、
「今日、自分が対応する案件」
「期限が近い案件」
「外部からの回答待ちが長くなっている案件」
が分かれば、すべての患者情報を一から確認する必要はありません。
DXによって減らしたいのは、入力作業だけではなく、こうした "状況を探すための時間" でもあります。
薬剤師だけに新しい入力作業を増やさない
在宅業務の仕組みを考える際には、誰が入力・更新するのかも重要です。
すべての情報を薬剤師が入力する仕組みにすると、DXによって逆に業務負担が増えることがあります。
例えば、
* 日常的な状態更新は事務担当者
* 薬学的な判断が必要な部分は薬剤師
* 重要事項の確認・承認は管理者
というように、実際の業務分担に合わせて役割を設計することが重要です。
システムに業務を合わせるのではなく、現場で実際に誰が仕事をしているのかを確認したうえで仕組みを作ること が、継続して使えるDXにつながります。
外部との連携でも「何をお願いしているか」を明確にする
この考え方は、薬局内部だけでなく外部関係者との連携にも応用できます。
例えば施設やケアマネジャーへ何かを依頼した場合、
「情報を共有しただけなのか」
「回答が必要なのか」
を区別できるだけでも、コミュニケーションは分かりやすくなります。
すべての連絡に返信を求める必要はありません。
単なる情報共有と、確認・回答が必要な案件を分けることで、相手側の負担を減らすことにもつながります。
もちろん、患者情報や医療情報を外部と共有する場合には、共有する相手・情報・期間などを適切に制限することが前提になります。
DXの対象を「データ」から「仕事」へ広げてみる
「どの情報をデジタル化するか」という議論になりがちです。
しかし在宅業務では、それだけではなく、「どの仕事がまだ終わっていないのか」を見えるようにすることにも大きな意味があります。
患者情報を大量に集めることが目的ではありません。
必要な業務について、
誰が担当していて、
いつまでに、
何を確認し、
どの状態になれば完了なのか。
それを現場全体で共有できる状態を作ることが重要です。
私たちプルーゲンでは、在宅業務のDXを考える際、単なる情報保存だけではなく、患者さんに関する日々の業務が確実に完了するための仕組みにも着目しています。
もし、
「担当者が休むと進捗が分からない」
「確認待ちの案件を忘れそうになる」
「電話や付箋で仕事を管理している」
といったことが増えてきたら、システムを導入する前に、まず どのような未完了案件が日常的に発生しているのか を整理してみることが、DXの第一歩になるかもしれません。