デザイン/マーケティング思考

デザインとコンセプトのつながり

始めに「地頭」について
少し前から地頭が良いなどを数年前からよく聞くようになりました。
辞書などで「地頭」を調べるとコミュニケーションや頭の回転など、その人が持っている本来の頭の良さなど を指すようです。

私が思う地頭の良さは、物事を鳥の目、魚の目、虫の目を持っているような方だと思います。
なぜ、このようなことを今回のデザインとマーケティングのブログで述べているのかというと、私も仕事で Web などで調べ物をしているとテクニックのことを書いている記事が散見されているからです。
私に周りの方には、日頃から「テクニックよりもスキルを身に付けて下さい」とお願いしています。
これから人工知能の時代に向けて考えて行くためには、テクニック(技術)よりもスキル(技能)そして地頭の 良さが必要になってくるからです。
それは、しばらくの間人工知能で代替できない人しか考えられない能力だと私は思います。
他のブログで抽象化の概念について簡単に述べていますが、これも現在の人工知能に問うても回答は怪しい ものだと考えます。

当然のように現在の人工知能では、様々な哲学についても怪しい回答しか返ってこないと考えています。
私の尊敬している経営者が今まで大きな変革の時代があった産業革命、情報革命、そして今回の人工知能の 時代と話しており、私もそのように思います。
だからこそ、未来を見通せば現在のビジネスマンにとても重要なのは、時間が進めば進むほど陳腐化するテク ニックを追い求めるのではなく、スキルを活かせる地頭の良さを持てるような人になって頂くことが大切 だと考えます。
先ほどの経営者が未来のある若い経営者のたまごに向かって「様々な書籍を読みなさい」と諭していました。
この諭す言葉も己の地頭を良くする一つの金言だと私も聞いておりました。

本題に入ります。

先回予告ではデザインと哲学のつながりとしていましたが、正しくはデザインとコンセプトのつながりです。
では、デザインととコンセプトを考えてみたいと思います。
デザインとコンセプトのつながりを分かりやすくするために注文住宅の建築を例にして仕事の流れを簡単に 述べてみたいと思います。
注文住宅はクライアントの施主から依頼を受けて建築士に設計デザインを依頼します。
建築士は施主から注文住宅の予算と完成予定日などを確認し、そこから予算の範囲内で施主の望むテーマ に沿ったデザインなどを確認してパースなどのデザイン提案をします。

このようにクライアントの仕事依頼 → テーマやコンセプトなどの確認 →予算・締め切り → カンプデザイン → 完成デザイン の流れです。

次に注文住宅で簡単に例えると住宅の基礎の土台になるのが、依頼のコンセプトであり、住宅の内外装がテー マに沿ったデザインということになります。
グラグラとする土台のコンセプトだといくらテーマに沿った立派なデザインでもすぐに倒壊してしまいます。
しっかりとした土台がコンセプトであり依頼主のイメージに合ったテーマのデザインということになります。
クライアントに求められるしっかりとしたコンセプトとクライアントのイメージに合うテーマデザインを行う のが私の考えるデザインとコンセプトのつながりです。

以前から申し上げているように仕事の依頼が短い期間であっても漠然としたイメージでデザインなどを行う ことは後々後悔などで自分を苦しめることになります。
どうしても仕事はルーティンワークになりがちですから仕事の依頼がきた時は当たり前ですが、デザインテ ーマに沿ったコンセプトを考え抜くことがクライアントのためであり自分のためでもあると思います。
指導を含めた私の周りの人には、常日頃から行動をする際にそれはテーマとコンセプトを持っていますかと 聞いています。

話しは少し逸れますが心理学では日常、人は簡単な決断は無意識下で行うようになっているとされています。
普段からテーマとコンセプト持ってよくよく考えるように意識的に自分を持って行かないと無意識下で物事 を決めてしまいますから注意して行きたいですね。

デザインを行う前のコンセプト

例えば、クライアントから結婚式場の案内をするチラシの依頼があったとします、
私ならまずコンセプトを 民俗学者の国木田独歩が述べる「ハレ・ケ・ケガレ」から狭い範囲で調べ、そこから婚礼に関する日本文化の 歴史やそれに関するイメージなどの情報を生かせるように頭を整理します。
民族文化の視点で見れば結婚式はハレになり、日本の風習でハレの色は紅白や金銀色にイメージされます。
動物で例えると、ツルやカメであり植物でいうと松竹梅です。
食べ物だと赤飯や鯛、昆布、海老などのイメージがあります。

ただ漠然と結婚式の捉え方を洋風なウェディングで捉えるのではなく、外国の人からも尊敬や憧れを持つ長 い歴史のある日本文化からヒントを得て、クライアントが納得できるようなことを考えます。
そのためには、クライアントから糸口になるような様々な質問をしてクライアントの頭の中にあるイメージ を聞き出すことが重要です。

デザイナーやマーケティングプランナー、クライアントの頭のイメージにあるものはモヤモヤした形があって ないものが多いので、とにもかくにもイメージをハッキリとしなければなりませんから多くの質問の内容と それを引き出す聞き方が重要になります。
デザインをつなぐコンセプトとは、デザインを支えるための土台や柱と考えて貰えるとありがたいです。

今回もブログを読んで頂きまして、ありがとうございました。
次回はマーケティングをつなぐコンセプトについて述べたいと思います。

文 / デザイン・マーケティング担当:太田正信

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