ヒューマンスキル

なぜ、人は説得力が必要になるのか

今回は、先月のヒューマンスキル(28)の終わりに述べたようにヒューマンスキル(27)の説得力の続き を述べたいと思います。

なぜ、人は説得力が必要になるのか

ヒューマンスキル(27)で説明をしきれなかった続きを述べます。
あなたは、説得力に関してよく考えたことがありますか?
説得力は生きている限り、スキルとしてかならず必要となります。
子供もある程度の歳になれば、親にものをねだるようになります。
その時、子供は親に対して自分の欲しいものを買って貰うために理由を考え探しだす努力をするようにな ります。
当然、親の立場で考えると理由もなく単なるものを買って欲しいなどと言えば「何をワガママを言ってる の」と子は諭され注意されるだけで終わってしまいます。
子供が欲しいものの理由づけを考えて、正当な理由を述べるようであれば親も仕方なく購入を考えるよう になると思います。
大人になれば、自動車やマイホームなどを購入する際にも銀行に対して説得力が必要になります。
このように子供の時から大人になるほど人に対して説得力を身に付けなければなりません。
特にビジネスに於いては、説得力のスキルが重要になってきます。

説得を二重過程論から

以前デザインとマーケティングの中で説明したことを改めて述べると、人は「システム1」と「システム2」を 無意識に使い分けています。
普段の生活では大事なこと以外は脳の前頭前野を余り使う必要がなく、多くは大脳辺縁系にある古い脳の 領域しか使っていないとされています。
「システム 1」は脳の機能性と特性によって普段は古い領域だけを中心に活動をしており、危険なことや注意をしなければいけないこと意外は、余り意識に昇らないようなかたちになっています。
また「システム 2」は、普段の生活で悩むような判断や難題に対すること、考え決定する際に意識として昇るような仕組みになっています。
ダニエル・カーネマンによる二重過程理論の「早い反応:システム 1」に関しては普段の私達の状態であって「遅い反応:システム 2」に関して、悩む判断や難題に出会った時に決断する脳の状態であると考え ます。
以前に説明したかも知れませんが、人は自分にとって得になることに敏感であり、特に損をすることに対 しては、もの凄く敏感です。
なぜ、二重過程論からよく考えなければならないかといえば、人はコミュニケーションや話しの内容に関 して必ず「分かりやすさ」「理解しやすさ」を求めるような脳の構造なっているからです。
また、基本的に説得力を持つためには説得したい人に対して信用がなければ相手がまともに話しを聞こうという姿勢を持つことはありません。
先ほど述べた二重過程論や今説明した信用などに関しても人間の進化からきたものと私は考えます。
また、コミュニケーションという行為も人の進化の視点から考えた方が自然だと考えます。
また、以前から述べているノンバーバルコミュニケーションも進化の観点からみた方がより理解しやすいと思います。

 

説得と精緻化見込みモデル

心理学の精緻化見込みモデルから説得について考えてみましょう。
精緻化見込みモデルとは、米国ミズーリ州コロンビアのミズリー大学の心理学者リチャード・ペティ博士 と米国イリノイ州シカゴにあるシカゴ大学の社会神経科学者ジョン・カシオッポ博士が理論を提唱をしま した。
では、精緻化モデルとは何かいえば、あなたが相手を説得する際にあなたが話しをした内容を聞く相手が どのような気持ちや考えで受け取ったかを二つの情報処理の仕方を示した理論です。 また、この精緻化モデルに関しては、ダニエル・カーネマン博士が提唱した二重過程論に基づいたものと しています。
説得をする際の話しの内容を情報処理する際に考え方が中心ルート思考と周辺ルート思考の二通りとされ るとしています。
周辺ルートに当たるのが「システム 1」素早く捉え思考することになり、また中央ルートに当たるのが
「システム 2」で注意深く思考するとされています。
「システム 1」を例えるとメンタルアカウンティング的に考えれば、消費財として消費されやすい飲料や
食品などは、それほど頭を使わず深く考えながら購入しません。
しかし、「システム 2」に当たる住宅や自動車、家電など高価な耐久消費財になると物がものだけに後々の 支払いなどを考えて熟考をしなければなりません。
「システム 1」で例に出したように「周辺ルート」とされる素早く捉え思考するような消費財に関しては、 消費者はそれほど深く考えないので、気分次第で購入目的が弱く変更されやすい傾向が強い。
「システム 2」の例で述べたように「中央ルート」の熟考を要する思考ルートでは、購入目的が計画性を高 く求められるために強く余程のことがない限りに購入目的が変更されにくいとされている。
今まで述べたように人を説得をする際は、あなたが提案するのは、二重過程論の「システム 1」に基づい た周辺ルート思考を用いる商品やサービスなのか、はたまた「システム 2」の中央ルートの熟考を要する 思考の商品やサービスなのかをそれぞれに合わせた、図解や説明などをよく考えることが必要になります。

出典:出典:2014/06/20.(刊)株式会社早川書房 .(著)ダニエル . カーネマン .(訳)村井章子「ファー スト&スロー上」. 2015.10/20.・フリー百科 Wikipedia.「精緻化見込みモデル」

今回もヒューマンスキルのブログにお付き合いして頂き、誠にありがとうございました。
これからも株式会社 プルーゲンのブログを宜しくお願いします。
文 / デザイン・マーケティング担当 太田正信

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