私の学生時代には、デザインに関してはビジネス用語でも使われる「戦略」については全くというほど縁があ りませんでした。
学生頃の私の頭の中はデザインやイラストを描くことだけでいっぱいでした。
社会に出て雑貨インテリアの製造企画販売会社に入ってから企画室の室長からデザインに関して色々なことを教えて貰ったことで知識欲が芽ばえ始めたぐらいでした。
また当時は現在ほどネットなどから様々な情報が簡単に手に入る時代ではありませんでしたし、都心部の大手の書店以外、街の書店ではビジネス書など現在ほど豊富ではなかったように思います。
現在ではネットや街の書店で、気軽に専門書が手に入りますからとても便利になりました。
現在では、ビジネス用語の中でデザイン経営という言葉も生まれていますからデザイン戦略をテーマとしても違和感がありません。
きっとネット検索で丹念調べて行けば、私が今回ここで述べるているようなデザインと戦略でブログを書いているヒトがいるかもしれませんが...。
戦略を調べてみると「興そうとする闘争に対し長期的な視野に立って準備として計画をし、運用方法までを考 える」と述べられています。
また、ビジネス戦略について書かれている、良い戦略、悪い戦略の中で良い戦略とは「核(カーネル)の診断・基 本方針・行動」があると述べられています。
制作を依頼されたデザイナーもクライアントの考えを汲み取りデザインに関してプラニングの過程に入る前に戦略を考えなければなりません。
これを良い戦略の要素を照らし合わせるとクライアントから依頼されたデザインをプラニングをする際にそのデザインの戦略を考えると、成果物の基準となる物さしがないようでは、作り上げるデザインの診断が できません。
また、そのプラニングデザインに関しても必ずデザインの基本方針があるはずだと考えます。
クライアントから依頼された際には、基準となる物差しを作り誰からみてもクライアントが望まれるような 成果物になっているかどうかの診断を下さなければなりません。
それから、プラニングに入った際に基本方針にそっているかどうかを確認して行く必要があると思います。
プラニングの基本方針が明確になってからデザイン作業に入ることによって行うデザインに対して迷いや 曖昧さがなくなると考えます。
本題に入ります。
今回デザインを考え振り返るについて、述べたいと思います。
最近、ブログや周囲に抽象化について述べていますが、抽象化の対義語の具象化について私なりの考えについ て述べます。
なぜ、具象化について考えることが重要かといえば、それは物事を深く掘り下げて考えることができなければ 物事を抽象化する事もできないからです。
この物理世界の物事を具象化して行くと構成や構造がみえて行きます。
光もRGBの構成で出来ているように漢字でも偏と旁の構成できているように物事の在り方を考えて行けば 行くほど深くなります。
哲学者でない限り物事を追求し思考し、深淵をみることは私は難しいと思いますが...
しかし、物事の本質を考え具象化を行わないと抽象化を養う力も余りないのではと考えます。
物事を抽象化し表現する力に関してデザイナーそのものの力量を問う能力でもあると私は考えます。
ブログの始めに述べたように商業ベースのデザインはクライアントから依頼があってから仕事がスタート します。
しかし、デザイナーの場合は仕事がない時にデザインに関しての教養や知識をどのように増やして、どのぐらい思考を深くして行くことができるかが今後の人工知能の世界が広がって行く中でデザイナーの力量が問われていくと思います。
数年前まで私も人工知能がクリエティブの分野に入り込むには、後 10 年ほどはかかると考えていました。
現在の人工知能の進歩は私の予想を超えて、もの凄いスピードで変化しています。
美術学校で得た技術や技能そして社会に出てからデザインの仕事をある程度体験したことで、これからも デザインの仕事があるとはいえない時代が目の前に迫ってきていると思います。
ブログのテーマであるデザインを考え振り返るでお話したいことは、如何に自己のクリエティブを高めるた めに教養や得た知識に対して自分なりの思考性を深めて行く努力をするかどうかです。
今まで、私なりの考えを偉そうに色々と述べていましたが、いつも述べているように若い時の私は、物事の抽 象化の考え方や具象化の考え方などは持ち合わせていませんでした。
お陰さまで、ある程度の歳をとってから様々な書籍を読んで自分なりにある程度の考えまで至るようになり ました。
ネット世界では、自分の欲しい知識や技術情報の記事が簡単に手に入るようになりました。
それは、ある面では便利な面でもありますがよく考えると自分にとって危険で都合が悪くなる面にもなりえ ます。
先ほど、述べているように深い思考性を持つことに気付くことに関して危険や波乱をはらむことなって行きます。
常に便利な面だけみていると、そこにリスクがあること忘れしまうのが人です。 なるべくそれだけは、お互いに避けたいですね。
出典:2021/06.22.日本経済新聞(刊).リチャード・P・ルメルト(著).村井章子(訳)「.良い戦略、悪い戦略」
今回もブログを読んで頂きまして、ありがとうございます。
文/デザイン・マーケティング担当 太田正信