ヒューマンスキル

相手先で営業をする前に

はじめに

新規開拓を行う前にあなたの気持ちの状態はどのようになっていますか?
会社から言いつけられたノルマを達成するために「頑張るゾ」などと考えているようでは、99%受注が とれないことは、多くの販売経験を持つ営業担当者ならよく理解していると私は考えます。
あなたは、「何故、そのようなことを聞く」というでしょう。
まあ、新人の営業担当者なら、その気持ちもよく理解できますが、2~3 年も経験している人ならこのよう な気持ちの状態で、きっと新規開拓先には向かわないでしょう。

様々な営業や販売の書籍に書かれているように見込み客は、売り込まれるのがすごく嫌なのです。
人は誰でも売り込まれることを本能的に拒絶したいものなのです。
また、売り込み満々の営業担当者ほど、表情に「欲」という文字がクッキリ浮かんいます。
私も新規開拓で飛び込み営業をした経験がそれなりにあります。
運良くその時に相手先の会社オーナーに会って貰っても決して無理な売り込みはしませんでした。
やはり、営業という仕事に於いて、何かしらの欲や余裕のなさが相手に伝わってしまうと必ず相手の思い や気持ちが引くと思います。

前にもブログで述べましたが、巷では営業・販売は男女の恋愛と同じように相手を追えば逃げる、相手から 逃げれば相手が追うようなことにつながるとされています。
このように相手に対しては、自分のノルマなどの欲は控えめにし、余裕を持った気持ちで相手に接して行け ばいいと私は考えます。

大嫌いだった自動車のディーラー

私が体験した営業担当者の話しです。
今の自家用車は、大嫌いだった近くの自動車ディーラーから購入しました。
そこの自動車ディーラーの営業担当者と大昔に一悶着がありましたからそこを避けていました。
以前に乗っていた、自家用車は当たり前ですが、別のディーラーから購入をしました。
なにせ、そこも営業担当者の修理の対応が余り良くなかったために近くの大嫌いなディーラーに仕方なく電話を入れました。
なぜ、大嫌いだった自動車ディーラーから車を購入したかといえば、一人の営業担当者の人間性がとても高かったからです。
その大嫌いだったディーラーのメーカー車でも無いのに自宅に来て、バッテリーのメンテナンスをしてくれました。
電話を入れてからすぐに来てくれて、バッテリーのメンテナンスをサービスで行いさっと会社へと帰って行きました。

二年後、大嫌いだったはずのディーラーで、営業担当の彼を指名して新車を購入をしました。今、述べたように私の体験ですが、ある程度営業経験を積んでいる方は、そのような経験を持っている方も多いと考えます。
そこには、相手に人としてきちんと接しているか、また、ただの見込み客ぐらいにしか考えていないかの違いは大きいと思いますが...。

損をしても得をとれ

辞書で調べると「一時は損をしても,その損によって将来大きな利益を得る方がよい」「目の前の損失は度 外視して、将来の利益を確保せよ」「最初は、損をしても長い目で大きな利益を得よ」等々と述べられてい ます。

先ほど、私の経験を述べたように大嫌いだったはずのディーラーだったのですが、たった一人の担当者と の出会いで、十数年ほどそのディーラーでお世話になっています。

「損をしても得をとれ」のことわざにあるように、営業・販売担当者が損をしても得をとるような冷静な考 え方を持っていれば、目先の欲につながる自分の販売のノルマなどに囚われずにいれば、営業担当者を指 名してくれるきっとよい顧客ができると考えています。
相手も常識人であれば、依頼先の相手がわざわざ来て料金を取らないような営業担当者なら今後の付き合 いを考えてみようと思います。

また、市井でよくギバーとテイカーの例もありますが、クレクレのテイカーのような見込み客は端的です から、そのような見込み客に対しては、相手にしなければいいと思います。

私の周りにいる若手経営者たちにも相手がテイカーだったらすぐにその人から離れなさいと伝えています。
ビジネスに於いては、WinWin が成り立つ関係しかあり得ないと私は考えています。
古いと思う人がいるかもしれませんが、お客さまに喜んで貰えることを考えながら自分も喜ぶこれがビジ ネスの本筋だと今も思っています。
「損して得をとれ」のようなことが、心理学の書籍にもこのような法則が述べられています。

返報の法則(因と果)

返報の法則とは、米国アリゾナ州立大学の心理学教授であるロバート・B・チャールディーニ氏が書籍の中 で説明をしています。

端的に述べると多くの人は相手に贈り物をすると必ず送られた相手もお返しする行為を行うと説明してい ます。

別の名で、プレゼント効果ともいわれています。 先ほど私の体験で述べたように、私の自宅までわざわざ来てバッテリーメンテナンスを行って料金請求を行わなかったことについて、改めて彼から新車を購入すること決めたことも大きな要因になったと思っています。

形の見える商品だけではなく形そのものが見えない行為でも基本的に多くの人には、返報性の法則のような要因でこころが動くと考えます。

自戒を込めてですが、営業・販売を行う際は、目先だけの欲で動けば、人は必ず見抜くということと、例 え見込み客であろうと相手を粗末に扱えば、いずれ自分に返ってくることがあるということになりますの で、気をつけるようにしましょう。

出典:2007 念 8 月 31 日8.(刊)株式会社誠信書房 .(著)ロバート・B・チャールディー二 .「影響力の 武器」.

今回もデザインとマーケティングにお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
今後もデザインとマーケティングを宜しくお願い致します。
文 / デザイン・マーケティング担当 太田正信

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