デザイン/マーケティング思考

デザインと哲学

株式会社プルーゲン/デザイン担当の太田です。
今回は、私なりのデザインと哲学について述べたいと思います。
一般的に哲学というと小難しいと思う方が多いと思います。
そういう私も少し小難しさを感じるところがあります。
辞書でデザインについて調べると「デザインとは美しさや使いやすさを狙い追求して実現のための創意工夫」と説明しており、哲学について調べると「哲学とは世界の根源や本質を見極め真理を探究する知的な営みなど」と説明しています。
どちらにしても2つとも知的活動の探求には変わらないと考えます。

何故デザインに哲学的な考えが必要か
デザインを行うということは、社会や人に対してデザイナーを含めたクリエーターがデザインを通して創意工夫する知的活動を指します。
では、何故哲学が必要になるのでしょうか、デザイン本質的な知的活動として高い価値あるものとして存在しているからです。
デザインをする行為がただの創作上のイマジネーションや思いつきではなく深い知識を持って知的活動が備わってこそデザインをするということだと今は考えています。
若い時の私はデザインの考え方に対して稚拙だったことが多くの経験をし、歳を取ってからよく分かるようになりました。
私がデザインを通して救われたことは、学生時代に母校で面倒をみて頂いた恩師と社会に出て再会し、お声を掛けて頂いたことによって改めて、その恩師の存在が知的活動の刺激を与え続けてくれていることです。
少し話しが逸れてしますが、残念ながら一般的に若い時は経験値が少なく物事の道理や人に対する洞察力を持つことがすぐにはものに出来ないと考えます。
出逢った方からどのようなことを学ぶのかは自分の取り方や考え方次第だということも歳を取ったことでよりよく分かってくると私は考えます。

哲学を通してデザインを改めて考える
先ほど述べたようにデザインも哲学どうように本質や根源を追い求める知的追求をするものです。
ただ思い付いた着想やイマジネーションを使っただけのデザイン表現では安易すぎており、デザインのバックボーンとしては、あまりにも弱すぎると考えます。
デザイン表現をする時にプロとしてデザイン思想が必要になると私は考えます。
当たり前のことですが、デザイン制作の表現はアート作家の個性的な表現とは違い、仕事に於いてクライアントなどの要望があるために常に制約があります。
でもあなたの追い求める知的な活動として、クライアントから頂いた仕事に於いてもあなたのデザインの思想がどこかに少しでもあることが大切だと思います。
偉そうに述べるつもりはありませんが、デザイン表現するデザイナーとして、ある程度の美術含む社会的知識の探求を追い求めることが、矜持を持ちプロを名乗るシンのクリエターとしての在り方だと私は思いますが、如何でしょうか。

デザイナー・クリエターとして視点を複数持つ重要さ
今では、美大や専門学校を出ていない人たちもデザインソフト・画像ソフトでデザインやイラストなどを表現されています。
確かにパソコンを動かし表現をする技術も重要ですが、それよりも多くの社会的な教養がものをいう時代に入っていると私個人として強く感じています。
少し前に述べたと思いますが、私が美大で学んでいた時代は色彩学の科目はありましたが、現在の美術系学校では多くの学生たちが色彩心理学を学んでいると思います。
きっと現在活躍されているプロのデザイナーやクリエーターの方々の中では、個人的に心理学や行動経済学などを勉強をされているのではと思っています。
プロのデザイナーとして必要とされているのは、無論美しさや新しい表現力の豊かさを求められのは当然ですが、それよりも人間本来の心の動きを通して人の行動を知ることが現在のデザインの世界に求められていると考えています。
人間の本質や根源を少しでも知ることによって、よりデザイン表現力が自然と増してくるのではないかと私は思っています。
有名・無名の先人たちデザイナーの方々も日々のプロとして表現力を増すために哲学を持ち、知的好奇心を掻き立てながら、人の根源や本質を知るために知的活動の努力をしていたと考えます。
デザインの表現活動を行うことは、すなわち自分自身のデザイン哲学を持って仕事にあたると考えても差し支えがないと私は考えますが、如何でしょうか。
但し、私が述べている自分自身のデザイン表現とは、他人でも理解されるような論理的な筋立てができているような表現のこと指します。
改めて今回のテーマであるデザインと哲学について申し上げるとデザイナーを含めたクリエターとして、今後、人工知能によって変化する時代を乗り切るプロの人材は、より高い知識水準を持つ人だけがデザインの世界で活躍をして行くのではないかと考えています。

今回もお付き合いして頂きましてありがとうございました。
見て頂いた方の仕事に於いてご参考になれば、幸いです。
次の第10回目は「マーケティングと哲学」について少し述べたいと思います。

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