IT豆知識

ITへの幻想

はじめに
株式会社プルーゲン/ITコンサル担当の鈴木です。
今回は「ITへの幻想」と題して、投稿してみたいと思います。
記事の内容としては、私がこれまでに色んな方と接してきた中で、ITだから「簡単にできるんでしょ?」「すぐにできるんでしょ?」という思い込みをされている、または理想だけをイメージされているなぁという、現実とのギャップを感じたエピソードを紹介します。

<その1>ボタン1つでやりたいことができてしまう?
言葉の綾なのかもしれませんが、ほとんどの場合はボタン1つでは無理です!
言ってしまえば、ボタン1つできること=「あるパターンの処理」なのです。
世の中にある実務作業において、1パターンだけで完結している仕事は圧倒的に少数であり、大半は複数のパターンから選択・実行されて完結しているでしょう。
従来、手作業でされている作業においても、必ず作業担当者の方の「判断」が至る所で発生しています。
ただ、慣習であまり判断するという意識をせずに作業をされているだけなのです。
いやいや、AIであれば可能でしょ?とおっしゃるかもしれませんが、AIも予め指定された手順(アルゴリズム)に従って処理していますし、AIにおける機械学習を採用するにしても数万件のデータ量が必要になります。
実際に、普段担当されている作業内容を細かくヒアリングしていくと、ご担当者の頭の中で様々な「判断」がされていることが多々あります。
それを全て業務フローへ落とし込み、全パターンを洗い出すことで漸くDX化/システム導入のスタートすることができます。
ここで齟齬があると、出来上がったものが「いや、違う!」という結果になる訳です。
詳しくはこちらの記事を併せてご覧ください。【システム化すべきこと

<その2>パッケージソフト(完成品)であれば、すぐにDX化できる?
なるほど、確かにイチからシステムを構築するのは、手間や時間がかかるからパッケージソフトを導入すれば「すぐにできる」・・・とも限りません!
パッケージソフトには出荷時設定しかされておらず、要は真っ新の状態であると言うことです。
ここで可能な選択肢は、自社の業務にフィットした初期設定を行うか、パッケージソフトの出荷時設定に自社の業務をフィットさせるかの二択です。
当然ながら多くの方は前者を選択されると思いますし、私もそれをオススメします。
自社の業務にフィットさせるためには何が必要かと言うと、業務フローと処理パターンの洗い出しです。
結果は<その1>と全く同じなのです。
更にDX化する観点に立ったときには、業務の棚卸と業務フローの見直しも必要になるでしょう。
分かりやすい例として、手書きだった作業をワープロ打ちに変えただけではDX化になってないと言うことです。
何のためにDX化/システム導入を行うのか?
プロジェクトの目的をしっかりと意識して、それがブレては行けないのです。
詳しくはこちらの記事を併せてご覧ください。【まず、やることは︖】【失敗しないコツとは?

例えるなら
システムづくりは、家づくりと非常に良く似ていると言われます。
したがって、何でもボタン1つで・・・という訳にはいかないのです。
確かに、「完成された”理想の”システム」に処理させれば、「簡単に」または「すぐに」できるのかもしれませんが・・・
最も重要なポイントは、最初の企画から設計のフェーズになります。
ここを如何にして、完成形または理想形のイメージから遡って、必要な条件を洗い出せるかが仕事の8割程度を占めています。
もちろん、DX化の場合も同じアプローチになります。
普段、ヒトが脳や体を動かして意識せず当たり前のように実行している処理を全てプログラムに表現して、それをシステムに再現させる必要があります。
これができて初めて「自動化」が実現します。

最後に
また、システムは「生き物」だと言う人もいます。
作ったまたは、導入したで終わりという訳ではないということです。
それをどこまで上手に使いこなせるか、そして必要に応じて改良を重ねていくことができるかが本当に有用な仕組みを構築するカギとなります。
システムは手を掛けてやらねば、エラーが出て言うことを聞かなくなりますし、放ったらかしだと古いバージョンのままでセキュリティも甘くなります。
私たち人間にも似たようなことが言えるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆さまの事業活動がシステマチックで好循環となりますように。

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