ヒューマンスキル

観察から分かる相手の目の動き②

今月は先月の続き「観察から分かる相手の目の動き」について少し述べたいと思います。

相手の表情や動作を見て理解できる理由
人間の脳には顔を認識をする領域があり、その領域により少なからず相手の表情から精神状態をうかがい理解することができるようになっています。
また、人の動きなどを見て理解するミラーニューロンというシステムがあるため相手がどのような行為をしているのか自分なりに分かります。
テレビ番組でタレントが料理をおいしそうな表情で食べている場面を視聴している時、自分自身も同じようにテレビで紹介されていた料理を食べたくなるのもミラーニューロンの働きによって起こります。
簡単にまとめると、これら一連の作用によって相手の表情や仕草などの動きで相手の気持ちが理解ができるようになっているとされています。

相手と目を合わせる行為
人間は相手と話している場合に於いて無意識に自然に相手の目を見ながら会話をしています。
進化をして行く過程で人は相手と目を合わせて、相手の感情を察して行く過程でアイコンタクト自体が発達してきたと考えられます。
当然ですが、相手の目を見ずに話すことは相手に対して自然と不快感を与えます。
普通、目を見て話さないのは心因的に何かあると考えるのが人の摂理だと思います。
また、しつけの一環として子供の頃に「相手の目を見て話しなさい」といわれたことが少なからずあると思いますが、いかがでしょうか。
だからこそ、言葉だけでは無く相手の目を自然に見ながら相手を観察をすることが相手を理解する第一歩につながります。
但し、相手の目をずうっと凝視する行為はお勧めしません。
余り長く相手の目を凝視すると相手の交感神経を刺激して相手に緊張感をもたらすことにつながります。
営業指導の中で目を合わす行為の説明を行う時によく質問されます。
「相手に目を合わせることによって相手に緊張感もたせることがないようにするにはどうすればよいか」と聞かれます。
適切な考え方として、私は相手の目を見つめることはせずに少し目線を外して眉間のところを見るようにしています。
先ほど述べたように直接的に目を見つめていると相手を緊張状態に追い込んでしまうため、そのようなことがないように眉間を見るようにするとよいと思います。
当然、目の動きを観察することは大切ですが、あくまでも自然に相手をリラックスさせた状態の中で会話を行うことによって相手の精神状態を観察することに重きを置いて下さい。
重要なことは、商談で相手に緊張状態を持たせずに如何にリラックスさせながらノンバーバルなどを含めて相手から様々な情報を引き出すかを心がけることが人を分析して行くためのポイントだと考えます。
この章の終わりに少し付け加えておくと人間やチンパンジーなどの集団で生活する動物に関して、目を凝視する行為は相手に対して威嚇する行為と取られてしまいます。

会話にアイコンタクトが必要な理由
先ほど述べたように集団行動をする動物の中ではアイコンタクトが行われていると現在の科学ではされています。
人間を含む集団生活をする動物の中で進化して行くうえで必然的に互いにコミュニケーションを行う際にアイコンタクトという行為が育まれきたと思います。
また、コミニュケーションに於いて、アイコンタクトの重要性を調べるため日米で様々な心理学者達がアイコンタクトに関する実験調査を行っています。
私自身が様々なもので調べて行くと各国の学者達が数多くのアイコンタクトの実験調査に関わっていることが分かり、それがコミュニケーションに於いてアイコンタクトの重要性を物語っています。
コミニュケーションに於いて相手の表情を確認しながら適度にアイコンタクトをすることが会話を円滑にすることは、幾つかの書物や論文などを見ても明かだと考えます。

目の動きで相手を知る前に
最近の傾向で「情報収集に関する全てのことをコスパで済ませたい」という気持ちは私にもよく分かりますが余りお勧めできません。 
人の脳は長い時間をかけて進化をしてきていますので、スキルなどの習得には時間をかけることが重要です。
スキルなどを手早く取得し活用することに関して、人の脳は余り得意ではないと思います。
最初に述べておきますが、アイ・アクセシング・キューの手法だけで、決して相手の精神状態が分かる訳ではありません。あくまでも相手から導かれる情報を得るための手法の一つということだと考えて下さい。
何でもかんでも一つの手法だけで、相手の精神状態が分かるようなら専門家も苦労しなくてすみますが…
人とはとても複雑で難しい生き物ですから、他の様々な手法の勉強をしながら時間を掛けて相手を理解して行くことが肝要だと思います。
前にも述べたと思いますが人の表情を観察する時、中でも目の動きと口の動きは特徴があって分かりやすいと思います。
今回もまた紙面が足りなくなりましたので第四回目に述べた「アイ・アクセシング・キュー」について説明に関しては次の第六回に説明したと思います。

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