先回のヒューマンスキルに続き今回もコミュニケーションについて述べたいと考えます。 コミュニケーションを行う際に一番重要なのは、何をいうとか話すとかを考える前に人というべき存在の心 理がどのようになっているかを知って考えることが大切だと考えています。
マーケティングの世界でよく述べられているのは、「人は自分の見たいもの見て」「聞きたいこと聞く」という コピーです。
だからこそ、人の本質につながることを知ることが重要な要素だと思っています。
人のものの見方を理解する
人は誰でも自分なりの常識や世界観を持って生きています。
だからこそ、当然のように他人との常識や価値観などの食い違いが起きます。
いくら兄弟や姉妹でも自分とは育った環境や遺伝子が違いますから世界観や価値観が違うのは当たり前です。
昔からよくいわれていることわざのように人は十人十色なのです。
認知科学に「フレーム理論」という考え方があります。
この言葉は、米国の認知科学者のマービン・ミンスキーの「フレーム理論」からきています。
フレーム理論の中で、人は出会った物事や知覚で得た情報を自分の体験や経験などの知識をボトムアップからトップダウン方式で、記憶からフレームと呼ばれる方法を使用し呼び起こすとしています。
端的にいえば、人は誰しもオリジナルのフレーム(枠)という自分なりのモノの見方で世の中を見ているということになります。
良い言葉ではありませんが、ことわざの「色メガネでものをみる」という表現にも当てはまると思います。
デザインとマーケティングでも説明をしましたが、人が外部環境の情報の捉え方として心理学者ウイリアム・グラッサー博士の選択理論を改めてヒューマンスキルでも述べたいと思います。
知覚のフィルターとは
上記で述べたように人は自分用のフレームがあって、それは誰もが個人用的な心のフィルターを持っていることになります。
知覚フィルターとは、ウイリアム・グラッサー博士の選択理論の書籍などで述べられています。
人は環境下の情報を五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)の感覚フィルターを通して感じ取ります。
次ぎに自分の体験や経験などで学び持っている知識のフィルターでその情報を理解します。
そして、自分にとってその情報に対して価値のフィルターで有益、無益、有害の判断を行います。
このように人は自分が持っている知覚フィルターで物事の情報について判断をしています。
先ほど述べたように知覚に関することについては、海外の心理学に於ける味覚に関する実験などで食器の色や素材、パッケージなどで、いともたやすく人の知覚や感覚を惑わします。
このように人の知覚は直近の周囲の情報の刺激によって心象の変化を起こしやすくなるということになっており、認知的なことを踏まえながらコミュニケーションを行うことが、まずは肝要だと考えます。人は誰でも自分のなりの世界観を作る残念ながら人は五感から入ってきた膨大な情報を知覚フィルターで全て受け取ることができません。
また、認知科学者のノーム・チョムスキー博士によると知覚から持たされた情報は、人がそれぞれ有して いる3つのフィルターで自分の世界観を作り上げていると説明しています。
1つめは、情報の削除。
アメリカの心理学者のジョージ・ミラー博士が提唱した論文からきた名称マジカルナンバーの法則です。
短期的な記憶に於いて、人が何か見たり聞いたりして覚える時に7つプラス2個文字ほどの個数しか記憶が できないこと示します。
マジカルナンバーについて例として、03--○○○○-○○○○などの電話番号が代表的な例とされています。
2.つめ目は、認知の歪みによる湾曲。
人は、誰も彼も情報をストレートに受け取りことが残念ながらできません。
例えば、テレビやweb情報、人の話しにおいても自分の都合のいいように聞き留めます。
例えば、伝言ゲームをする時に最初に情報を伝えた人と数人を介し最後に情報を受け取った人では全く違 った言葉に変化していることがあります。
3.つ目は、認知の偏りによる一般化。
日常生活に於いて人は共通する体験や経験などで得られたやり方や方法などを基準としてよく似たような 状況などを勝手に同じだと考えてしまうことです。
例えば、人は自分にとって都合が悪い事が2~3回起こるとまた同じようなことが起きてしうまうのではと 考えてしまうことを意味します。
情報の捉え方は人によってが違う
このように人は周囲の環境情報を知覚フィルターを通し受け取った事柄は個々の心のフレームによって受け取り、各個人の認知の仕方によって変化をします。
また、人は一度に多く記憶ができる能力も少なく、それに加えて認知の湾曲や歪みや偏りも持ちあわせており、また他の認知的なバイアスによる偏りや歪みやバイアスやヒューリスティックなどもあって、人と人のコミュニケーションが不足したり、互いに思い違いを起こしたりチグハグすることが多いのも納得ができると思います。
だからこそ今まで述べたようなことを考慮しながらコミュニケーションを行うことが大切だと考えます。
コミュニケーションでも人はミスを起こしやすいものだということを理解した上で行うことも重要なことだと思いますが、あなたはどうでしょうか。
出典:フリー百科ウィキペディア .「マービン・ミンスキー」・「ジョージ・ミラー」2010.06.17.(刊) ユナイテッド・ブックス .(著)チェ・ユンチョル .(監修)小宮一慶 .(訳)山口兼司 .「フレーム」・2010 年 8 月 20 日 .(刊)株式会社実務教育出版(著)シュリー・ローズ・シャーベイ .(監訳)上地明彦 .(訳) 本山晶子 .「影響言語」で人を動かす」
今回もヒューマンススキルのブログにお付き合いして頂き、誠にありがとうございました。
これからもヒューマンスキルのブログを宜しくお願いします。
文 / デザイン・マーケティング担当 太田正信