先々回と先回から二回に渡って人間の進化とマーケティングについて述べてきました。
今回も人間の進化とマーケティングについてもう少し述べてみたいと思います。
先回述べたように私たち人は原始時代と身体や脳仕組みがほとんど変わっていないと述べました。
アフリカにいる頃から、体に必要な基本的な食べ物の栄養素もほとんど変わっていません。
だからこそ基本的な人の思考についても本能に基づいて行動をすることについては、間違いはないと考えて います。
先回述べたように生きて行くためには快よりも不快を強くを感じると述べたと思います。
生命の危機に関することがなければ、米国の心理学者アイハブ・マズローが唱えている欲求の五段階説のよ うに、人は取りあえずいつもどうすれば自分にとってより良い生活が送れるのかを無意識的に感じながら生 きていると考えます。
基本として、マーケティング思考的に如何に人の本能に強くつながる潜在意識を web デザインやコンテンツ などに活用できるかが勝負となります。
進化心理学では、基本的に人は進化の過程で得た遺伝子的な影響及び人それぞれ個人による環境の違いによ って、行動や範囲が決められると考えられています。
くどいようですが先ほどから述べているように、人が人としてたらしめられているのは進化からもたらされ た遺伝子と社会的な習慣で構成されています。
例えば、人がパッと見て昆虫のクモやハ虫類などを強く嫌うのも遺伝的な本能によるものとされています。
このように私たちは進化から得た本能に基づいて促された情報によって潜在的に感じ行動をしてしまうもの なのです。
例えば、朝出社前にふっと喉が渇いたので何か飲みたくなってコンビニに入って冷蔵のウォーク前に立ち並 んでいたボトルを手にした、それが前日の夜何気なく見ていたテレビから流れていた CM の飲料メーカーの ラテコーヒーだったりもします。
また、夕方仕事を終えていつものように歩いていると何処からか漂ってきた、お肉を焼く匂いをかぐと自然 と脳裏にはジュウジュウと網の上で焼く肉の映像が浮かんでいると思いますがいかがでしょうか?
このような視覚や嗅覚から匂いの情報も無意識的に脳が反応するような機能が人には備わっているのです。
私たちはいちいち考えずに本能による無意識下によって刺激に対し反応するような構造になっています。
尚、環境下による各種情報の刺激反応に関しては、当然ですが個人差による反応の強弱はあります。
それもこれも進化によって、原始時代から千三百年ほど前まで現在のように人間は満足に食料が手に入らな かったために脳や体になるべく必要としない余分なエネルギーを使わないように己が餓死しないように自然 と備わった機能と考えられます。
先ほど述べたように進化的な適応に関しては、生物学的にみても基本的に人は節約的な思考と考える方が 自然ということです。
ただ、人は高い社会環境と高次の学習能力を得たことよって進化的には矛盾するような考えや行為を行って しまいがちです。
このように進化の視点を持ってマーケティングを考えて行けば必然的に人の行動範囲が理解ができるので はと考えています。
お財布事情と不安感
先月の述べたように誰でも人は何かしらの不安感につきまとわれていると思います。
特に日本人は、不安遺伝子が強い民族とされています。
以前にも説明をしたと思いますが改めて述べます。
私のブログで説明したように米国の高名な心理学者のダニエル・カーネマンとエーモス・トバルトスキー によってノーベル経済学賞で行動経済学が有名になりました。
その中の一つで、プロスペクト理論という概念があります。
端的にプロスペクト理論というのは、人はなるべく損出を回避したいという働きとその状況によって判断 が変更してしまうという意思決定モデルのひとつでもあります。
行動経済学でいうプロスペクト理論とは、使用するお金の利得と損失が同額であればあるほど損失の感情 が高くることを示します。
また、経済用語でメンタルアカウンティングという用語があり、別名心の会計ともいわれています。
この行動経済学理論は、米国の心理学者リチャード・セイラー博士が提唱した理論です。
お金を使う際に論理的で合理的な判断ではなく非論理的な心情による感情的判断をしてしまうことを指しています。
メンタルアカウンティングといえば、私も地元のスーパーマーケットで賞味期限間近のスイーツが売り値 の 30%オフだったので思わず手を出し、その商品を購入してしまいました。
また、テレビのコンビニ CM で定期的に流れているフェアーで今この商品を購入するとコンビニで決めら れた商品がもう 1 個ついてくるというようなことをすると人は得した感情になって売り場で別なものを購 入してしまうことにつながります。
確かに人は購入した商品に対してオマケがついていると何か得をしたような気分になって、「せっかくコン ビニに寄ったのだから他にも購入していいかな」という気持ちなり店側にとっては販売促進になります。
ダニエル・カーネマン博士曰く、プロスペクト理論に於いて人はどうやら購入した商品が支払った金額と 同等でも 2 倍から 2.5 倍も損したと考えるようです。
上記に述べたように店舗運営側は消費者の心理的負担を少しでも楽になるように商品に 1 個オマケをつけ たり、商品の割引クーポンをつけて便宜を払います。
プロスペクト理論やメンタルアカウンティングは、人の気持はなるべく損出をなくしてリスク回避をした いという本能からくるものだからと考えます。
特に昔から多くの日本人はリスク回避傾向が強く不安遺伝子の影響からかお金を貯め込んで亡くなって行 く方が一時期大きくニュースで流れているぐらいですから仕方ないかもしれません。
先回も述べたように過去に日本人ほど健康保険や傷害保険など色々な多くの保健に加入している民族も珍 しいといわれていたことを思い出します。
このように不快感と損出のリスク回避などの要素を考慮に入れながら Web 制作などに反映させること大切 な手段のひとつだと思います。
前々回から進化学や心理学などを含めた考えを入れて、消費者の購買心理を考えた方がより自然に Web マーケティングのプラニングなどができるのではと考えます。
出典:2000 年 4 月 20 日 .(刊)財団法人東京大学出版会 .(著)長谷川寿一・長谷川真理子 .「進化と人 間行動」・2010 年 11 月 15 日 .(刊)株式会社ニュートンプレス .「Newton 別冊「心はどこにあるのか」「脳と心」・2012 年 11 月 20 日(刊)株式会社早川書房 .(著)ダニエル・カーネマン .(訳)村井章子 .「 ファースト & スロー下」
今回もデザインとマーケティングブログにお付き合いして頂き、誠にありがとうございました。
これからデザインとマーケティングブログを宜しくお願いします。
文 / デザイン・マーケティング担当 太田正信