デザイン/マーケティング思考

人は難しいと思う文章などは目に入らない

あなたも経験があると思いますが、難しい文章に出会うと見る気がなくなり読む行為さえ失う経験が私は多くありましたが。
また、これもテレビドラマでよくあることですがドラマの構成でストーリー展開が前後になり度々変わったりして、ストーリーそのものの流れが少し分からなくなるために見る気が失われてしまいます。
なぜ、このような気持ちになるのでしょうか?
人の歴史では原始時代が余りにも長いために動物に襲われたり食べ物など中々手に入れることが出来ないため、とにかく生命の危機を除いて、他のことを考えたりすることで無駄な脳のエネルギー消費を抑えた い傾向にありました。
現代人もその名残など影響もあり手間が係る事や複雑な事を避けたいという意識が自然と働きます。
人の体を構成している全臓器の中で、脳が一番エネルギー消費をしているとされており、なるべく脳は物事などを集中して考えることや長時間に渡って思考することを避けます。
また、心理学から顧みると人は認知負荷が係ることを嫌がります。
尚、認知負荷を簡単に説明すると物事を理解することに対して多くのエネルギー消費を必要とすることを示しています。
様々な観点から考えても物事に関して難しいことを見たり聞いたり以外は大多数の人は、エネルギーを余り使わない分かりやすい物事に対して好感を持つということです。
心理学の中で認知容易性という用語があります。
人は見たり聞いたりすることについては、瞬時に少しでももっとも分かりやすい文章やコンテンツなどを好むとされています。
認知負荷や認知容易性などの観点から考えても人は難解な文章や理解が難しいコンテンツなどには興味を示さないどころか見向きもしません。
だからこそ、多くの人達に対してデザインやコンテンツ作成に対しては分かりやすく、見やすいなどの認知負荷が係らないような考え方が重要なのです。

私ごとなのですが以前デザイン学校で教鞭を執っていた時代に連れ合いから「あなたの文章は、専門的で難し過ぎるからもっと中学生のレベルでも分かるようにした方がいいよ」といわれました。

人は見慣れたものを好む

先ほど述べたように認知負荷を要することを人は強く避ける傾向にあります。
例えば、認知負荷が掛からないケースで例をあげると常識的に人は信号機の赤色を見れば止まり、青色を見れば進み、黄色は注意して止まるか進むかをそれほど考えずに決めています。
このように日常生活の常識的なルールとしてルーティンワークようになっていれば、考えずに自然と行動に移します。
以前のブログの中でも述べたようにこれはダニエル・カーネマンとエイモス・トべルトスキーが提唱したシステム1とシステム2によって行われる行動そのものです。
改めてシステム1とシステム2を説明をしますと日常生活に於いて大事なこと以外は脳の前頭前野を余り使う必要がなく、多くは大脳辺縁系にある古い脳の領域しか使っていないようです。
脳の機能性と特性によって普段は古い領域だけを中心に活動をしており、危険なことや注意をしないことであれば、余り意識に昇らないかたちになっているようです。

また「システム 2」は、普段の生活で悩むような判断や難しいことを考えて決定する際に意識として昇るような仕組みになっているようです。
ダニエル・カーネマンによる二重過程理論の「早い反応:システム 1」に関しては普段の私達の状態であって「遅い反応:システム 2」に関しては悩む判断や難しいことに出会った時に決断する状態であると考 えられます。

今まで述べたように脳科学と心理学の視点で振り返って考えると人間の営みは進化で得られた能力を無視してデザインやコンテンツを企画開発してもただ制作時間と費用をドブに捨てるような結果なって手痛い 思いをすることになる思います。
だからこそ、人の進化による備わった基本的な条件に添った考え方でデザインやコンテンツを制作する必要があると思います。

また、認知容易性について知りたい方は、以前にもブログで述べたダニエル・カーネマンの書籍などで詳しく述べられていますから参考にして下さい。

出典:2014/06/20.(刊)株式会社早川書房.(著)ダニエル.カーネマン.「ファースト&スロー上下」. 株式会社講談社.(著)阿部修士.「意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策」.フリー百科wikipedia.「 エイモス・トベルトスキー」

今回もデザインとマーケティングのブログにお付き合いして頂き、誠にありがとうございました。
これからも株式会社 プリーゲンのブログを宜しくお願いします。

文 / デザイン・マーケティング担当 太田正信

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