デザイン/マーケティング思考

人の本質と行動経済学

近年では、書店にあるビジネス書やビジネスニュースなどで行動経済学というワードを多く聞くようになっ てきました。
特に営業・販売職やマーケティングなどに関わる職業に携わる方々には仕事に於いてキーワードの1つかも 知れません。
では、行動経済学をwikipediaでみると「経済学のモデル理論に心理学で観察された事実を取り入れて行く 研究手法」と説明しています。
平たくいえば「経済学と心理学を合わした学問」だと思います。
私が書籍などで見る、行動経済学の学者としては代表的な心理学者で、ファースト&スローを書いた ダニエル・カーネマン博士や予想通りに不合理を書いたリチャード・セイラー博士などノーベル経済学賞 を受賞をした方々だと考えています。
前々回から述べている認知バイアスやヒューリスティックなども含めて、人の本質を通してマーケティング に関することについて述べて行きたいと思います。

人間の進化とマーケティング活動

ブログを見ている方々からは、人の進化と購買行動がどのようにつながるか、と思う人もいるでしょうが...。
実は先ほど述べたように行動経済学者の方々がそのナゾの一端を解き明かしてくれていると考えています。
私は、仕事柄約30年程前から脳科学や心理学など論文や書籍などで人間の本質について調べています。
脳科学などを調べると日常生活を送る人間の行動は約90パーセントが無意識で意識が働いているのは残り の10パーセント近くとされています。
またビジネスなどでマーケティングの勉強しているしている方の多くは、もはや人間はほぼ無意識下の働 きによって日常生活をしていることをよく知っていると思います。
私達、人間の多くは無意識下の働きによるものが多いので、基本的にマーケティングを考える際は無意識 下に於ける人間の行動です。
それを無視してマーケティング活動は、できないといっても過言ではないと改めて考えます。
先ほど述べている行動経済学で人間が行動を起こして行為することも当たり前に無意識下に於いてのこと になります。
また、現在の私達は人間の本質的なところは20万年前とほぼ変わらないと考えても差し支えないと思い ます。
様々な近年の科学的研究によって、人間の進化から考えると市場経済と心理学や脳科学は密接に結びつい ており、マーケティング分野に於ける研究課題になっていると考えています。

人の思考と行動経済学

私が多く述べている項目の中ではダニエル・カーネマン博士の認知バイアスと二重過程論について書いて います。
また、もう一つ加えておくとプロスペクト分析もあります。
行動経済学は、人間の行動に関して本質を表していると実感しており大変興味深く感じています。
人間の思考のくせと行動を理解するために行動経済学の本を約数十冊所蔵しており読んでいます。
以前にも述べたように一般的に認知バイアスなどの種類は約 150 種類ほどあるため、普通には覚えきれな いと思います。
基本的な代表的バイアスなどを数種類ほど覚えておくと、いずれどこかでビジネスやマーケティングなど で応用できるのではと考えます。
バイアスについて出版されている、ロバート・B・チャルディー博士が手筆された有名な書籍で「影響力の 武器」があります。
その本には、返報性や社会的的証明、希少性、権威性などのことが詳しく説明されていますからビジネス のご参考になるのではと思います。
先ほどから述べているようにバイアスなども人間の進化と深く結びついており、返報性などは相手から贈 り物などを貰うと自然と自分もお返しをしたくなる人の心情を示しています。
このことも人間の進化と社会的発展と結び付いたとされています。
人が行動する時の動機として様々な心因要素がある思いますが、その際に人は何かしらバイアスやヒュー リスティックが影響をしいるようにも考えます。

購買の心理

行動経済学の中でメンタルアカウンティングという用語を述べたのはリチャード・セイラー博士です。
メンタルアカウンティングとは、日本語に直すと心の会計といわれており、お金と人の関係を心理学的に 分析しながら説明をしています。
人は、基本的に損をしたくないからモノを買う時に少しでも安くモノを買いたいという働きがあります。
よく昔いわれている購入行動の例え話しで、「新聞で安いチラシが入ると主婦は少しでもモノを安く買い たいので自宅から遠く離れた 10 キロ先のスーパーでも自転車を飛ばして行く」と聞きました。
メンタルアカウンティングの要素を上手く利用しているのがクーポンです。
もし、あなたが過去に購入履歴があるショップから期限付きの割り引きクーポンの DM が来たら、必要な モノがあるようなら期限がきれる前にその小売店に行って商品を買い求める行動を取ると思います。
私も当然同じような行動を取ります。
このような行動を無意識に人が取るのも行動経済学の一つの例です。
また、小売店などで初回特典付きのメンバーズカードを作るように勧めるのも見込み客が他店に取られな いための店側の顧客を囲い込む方法で、これも同じように行動経済学の考えからきたと考えています。
現在では、ビジネスだけではなく、人が関わる様々な分野で経済行動学の考え方を取り入れています。

出典:株式会社誠信書房(刊)・ロバート .B. チャルディーニ(著).「影響力の武器 - なぜ、人は動かされ るのか」・株式会社日経 BP(刊). リチャード . セイラー・キャス . サンスティーン(著)「実践行動 経済 学 完全版」

今回もデザインとマーケティングのブログにお付き合いして頂き、誠にありがとうございました。
これからも株式会社 プルーゲンのブログを宜しくお願いします。

文 / デザイン・マーケティング担当 太田正信

-デザイン/マーケティング思考
-