前回のパーソナルスペースについて書き残した補足説明をもう少し述べます。
人も動物もパーソナルスペースや縄張りの習性に関しては、ほとんど変わらないとされています。
人もやはり動物の「臭跡:マーキング」と同じような縄張り行為をします。
言語技術教授法のマージョリー .F. ファーガス博士の説明では、「裸のサル」など著作で有名な動物行動学者のデズモンド・モリス博士が、人も動物と同じように自分の周辺にマーキングを残すとしている。
人間の場合はマーキングの変わりに家の表札や部屋の中にある家族写真、自家用車に付ける自分好みのシールやプレート、壁に飾った絵画や装飾品類などが動物が行う「臭跡」に当たるようです。
そういえば、私も家や会社で好きな物を飾ったりしていますから自分の縄張りであるところには、自分の自己主張になるような目印を付ける傾向があるのも頷けます。
また、マージョリー氏の話しでは、私達が何気なく行う行為の中で喫茶店で他人に席を取られないために自分の荷物を置く行為や図書館の協同で使用する閲覧用の机の上に私物を置いたりするのも縄張りを示す 目印のマーキングとしています。
私達が季節の風物詩である花見や打ち上げ花火、海水浴で使うビニールシートやプールサイドにひく自分用のタオルなども同じことのようです。
確かに普段私達が行う行為一つ一つが縄張りを示す行動のようです。
確かに他人に場所を侵食されたくない、また犯されたくない場合、自然と上記のような行為をとります。
また、自己の所有空間も縄張りを示すものになります。
例えば、隣家の庭先から生えている樹木の枝が自宅の庭先に入り込んでくることで法律問題になることも間々あります。
あれこれ言っても人は動物と同じようにパーソナルスペースという縄張り意識が強いということになります。
つぎに性差でみるパーソナルスペースについて述べたいと思います。
男性と女性の距離感は違う
性差的に考えると異性同士と同性同士では距離感も違ってくるようです。
どうやら、女性同士よりも男性同士の方が空間的距離感が縮まることを嫌がる傾向が強いようです。
男性は女性よりも縄張り意識が強い傾向にあるとされています。
そういえば、電車やバスに乗っても女性よりも男性の方が足広げてパーソナルスペースを確保しようとする人達が多くみられます。
そのような男の人は、縄張り意識がとても強く少しでも自分のパーソナルスペースを広くし楽に座れるようにしたいと無意識的に行っているようですが、心理学者達の話しでは威嚇行為の一つとも説明しています。
多くの女性の方は、荷物を自分の膝の上に置きますが、たまに中年女性の場合、荷物を座席に置いて少しでもパーソナルスペースを確保しようとする方がチラホラいますが、そのような行動を取る方は荷物を膝に置くことが嫌で少しでも楽をしたい気持ちがあり自己中心的に考えていることがみえてきます。
他の人が無意識的に行う行動の取り方自体で、その人の性格が浮かんで表れます。
尚、親しい男女間はパーソナルスペースは、ほぼ個人の近接距離の 75 cm以内ですが、反対に親しくない男女間に於いては対面した時の女性の気持は、警戒心があるために遠方距離の 120 cm以上ぐらいにしたという思いがあるのではと想像できます。
例えば、自分と相手の二人の場合に相手が自分より座る位置や距離をあなたが思っている以上距離を多く取るようなら、それは相手があなたを警戒しているか、また嫌っている傾向があるのではないかと考えてもいいかもしれません。
観察眼を持ってパーソナルスペースを意識して相手が距離間を広げてくるか狭めてくるのかを感じ取ることにより相手のあなたに対しての気持ちが理解できると思います。
今まで述べたように動物学者のデスモンド・モーリス曰く「裸のサル」ですから基本的な行動は動物とそれほど変わらないということになります。
動物の習性も人間の習性も似たり寄ったりということを知ることによって仕事に生かせるようになることが 重要になります。
今回もお付き合いして頂き、誠にありがとうございました。
また、何かの仕事で少しでもお役に立つことができれば幸いです。
今後とも、ヒューマンスキルを講読をして頂ければ思います
出典:1999 年 2 月 20 日 . 日本実業出版社(刊). 渋谷昌三(著).「しぐさ・ふるまいでわかる相手の心理」
1987 年 9 月 20 日 . 株式会社新潮社(刊). マージョリー .F. ファーガス(著). 石丸 正(訳). 「非言語コミュニケーション」
文/デザイン・marketing担当 太田正信